*ブラックウィドーさんより頂きました!ありがとうございます>< *紫水→氷牙で七夕ネタの小説を書いて頂いちゃいました〜!><// *いたって健全な内容で書いてくださっていますが、腐要素を含みますのでご注意ください。 *下記はpixiv掲載時のブラックウィドーさんの作品紹介文の一部です。 作品紹介かたがた、お借りいたします。 『紫水くん→織姫、氷牙くん→彦星で七夕劇をやってもらっちゃいましたー。 宮城一族氏神一同の宴の席で、「新入り、何か余興やってー」な感じで書きました。』 作中一族 氷牙(ヒョウガ)得意:髪結い 紫水の異母兄 紫水(シスイ)こだわり:雪駄 作中主人公 紫焔(シエン) 氷牙と紫水の父親(氏神)で紫水は父と同じ顔グラ(2巡目) 星月夜の舞台は篝火に照らされ、闇に浮かんでいるようだった。 その下手に立つは、紫水扮する織姫。 「『今宵は七夕、年に一度の逢瀬を許された夜。さあカササギよ、わたくしの愛しい背の君の元まで、橋を掛けておくれ』」 右手の扇で顔を覆ったまま、淑やかに左手をかざすと、カササギの群れが羽ばたいて一筋の道を作った。 渡った先には、氷牙が扮する彦星の姿。 扇の陰から覗く、氷牙から差し伸べられた手に手を重ねる。 (――氷牙、氷牙、セリフ!) 氷牙の彦星のセリフを待てども聞こえてこないのに焦った紫水は、軽く扇を閃かせると小声で氷牙をせっつく。 その時初めて間近で見えた氷牙の表情は、なんとも間が抜けていた。 「…あ?ああ、えっと…『なんと、う、美しいひとよ』」 「『なんと素晴らしいひとよ』」 「あー…、『我が、妻よ。再び会えたこの一夜、』えーと…『共に踊り、明かそう』」 「『我が背の君よ、あなたの望むままに』」 重ねた手と、重ねた扇とが、ゆっくりと揃って篝火の光を受けて舞った。 「お、つ、か、れー…」 舞台を降りた氷牙は仰向けに寝転がり、完全にへばってしまっている。それでも労いの言葉を忘れない辺り、律儀だ。 「うん、お疲れ様。氷牙、早いとこ化粧落とさないと、後が大変だよ」 「わ、かった…」 返事はあるが伸びたままで、これは当分動きそうにない。 そう判断した紫水は、脱力して重い氷牙の頭を持ち上げて自分の膝に乗せると、代わりに化粧を落とし始めた。 おー、ありがとう、なんてくつろいだ声で言われると嬉しくて、思わず頬が緩んでしまう。 長い睫毛や自然に結ばれた唇を、ゆっくりと眺めて楽しんでいると、不意に緑の目がパチリと開かれ、紫水の青い瞳とぶつかった。 「なあなあ、どうして紫水が織姫だったの?前に女のフリは嫌だって言ってたよな?」 「う…(氷牙が織姫さまだと、本当にカササギの橋を渡って俺に会いに来てくれるのか不安なんだ…なんて言えるわけない!)…あ!と、年下だから?」 「はあ〜?」 とっさに出た紫水の言葉に応えた氷牙の声は、全然納得していないと丸わかりで。 何か、他にうまい言い訳がなかったかと焦る頭で考えて、ひとつ思い至った。 「あ、あのさあ!男が女舞する方が難しいんだよ。所作で女性らしく見せなきゃいけないし、特に今回は男の舞い手に合わせなきゃいけないしさ」 「へえ、そうなんだ。お前踊り屋だもんなー。俺に合わせてくれて、ありがとな」 「どういたしまして。…氷牙さ、最初ほうけてたよね?セリフ忘れた?」 「あー、あれ。びっくりしたんだよナー。かもじのおかげでお前が本当の女に見えて。お前じゃないんじゃないかって思えちゃって」 「えっ?!」 「声も違うしさ、本当に紫水なのかな?って。でも、あの焦ってる声聞いて、顔見たら、ちゃんと紫水だったから、安心した。本当に、お前で良かった」 「なに、それ…」 ずるい。そんな笑顔、ずるい。 どんどん赤くなっていく顔に気づかないでほしい。 化粧を落とす手つきが荒っぽくなってしまったけど。 氷牙の抗議の声も無視して、紫水は手を動かし続けた。
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